フォトグラファー『嶌村 吉祥丸』が見つめる世界。 -第2話- / U-29クリエイターズファイル

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連載企画「U-29クリエイターズファイル」 -第2話- 

今回ご紹介するのは、『i-D』や『DEW Magazine』から『NYLON』まで幅広いファッション誌、そして広告やMIHARA YASUHIROのカタログ等、多くを手がけるフォトグラファー

Kisshomaru Shimamura/嶌村 吉祥丸氏だ。

※第一話はこちら
 

写真がスナップからアート色の強いものへ、変化のきっかけは



 

徐々に変わっていったのかもしれないです。僕は、留学をきっかけにポートランドで暮らしていたのですが、その時にアートギャラリーのキュレーターやデザイナー、アーティストの人たちと毎日一緒に過ごしていました。

今思えばそのときの生活が、僕の撮る写真に無意識に影響を与えたのかもしれません。
 
そのときは、まだ写真が僕にとっては表現媒体ではなくコミュニケーションツールでした。

アート系の彼らとコミュニケーションをとるために撮っていた、一種の言語だったのです。

英語は徐々には話せるようにはなったものの、写真というものはやはり別の意味で特別な言葉として機能していました。

写真を見せること、撮ることで彼らと繋がることができたし、撮った写真を見せると、食事に誘ってもらえたりしたのが素直に嬉しかったです。

 

写真を撮るうえでの共通のビジョンは



 

特にないかもしれません。あるといえば、そのときのベストを出し切ること、自然に撮ることです。

その状況に応じて、人や土地その空間にあるもので一番いいものを作る。

ライティングにしても、自然光だけで撮るというこだわりのある人や、

Terry Richardson(テリー・リチャードソン)のようにストロボ一灯のテイストを得意としている人もいます。
 
そのこだわりも良いと思いますが、僕は自分がその時できる最善の選択をしているつもりです。

僕は現場で学んできた所謂独学派なので、勿論まだ模索中ではあります。

 

一番思い入れのある撮影



 

Inside Out」という作品で、ワルシャワで個展を開きました。バレエのシリーズになるのですが、非常に思い入れがあります。

これは僕の幼馴染のお母さんが代表を務めるバレエ教室の発表会を撮ったものです。

自分も客席からずっと十年以上見てきたのですが、この時初めてバックステージに入れさせてもらい、バレエ教室の子供達の裏方や舞台袖を撮っていて、

同じものを見ているはずなのに立つ場所が違うだけで、こうも違う景色が広がっているのかと感じました。

単純に写真として見ても美しかったし、撮っているときも自然体でなにも考えずに撮れました。
 

インスピレーション源は身近な日常




インスピレーション源は、“日常”ですね。

目に入るものは、同じ空間にいる人でもこっち側から見るのと反対から見るのとでは、ものの見方がとても違ってきます。

そういう視点への意識など、自分の身の回りにあるものからインスピレーションは得ているかもしれません。
 
子供の頃からサッカー少年ではありましたが、それと同時にそういう視点に敏感ではありました。

人間観察が好きなのかもしれません。

サッカーのポジションもセンターバックだったもので(笑)
 

観察者がこの情報過多の世の中に思うこと



情報過多によって疲れるという事は恐らくありませんが、選択できる力をつけなきゃいけないとは感じます。

ニュースは毎日世界中に溢れています。

例えば、あの国の誰かが亡くなったとか、事件が起きたとか……。

その中で自分の向き合うべき事により注目しなければいけないと思うのです。
 
世界中の出来事を見て、それを受けて僕がアクションを起こせるかというと、全ての事象に対して心の底から起こせるとは思えません。

勿論そうしたい思いますよ、戦争とかは止めたいし。

しかし、やはり日常性の中で自分がちゃんと向き合うべきものに向き合えるようにする事の方が重要に感じます。

なんでも気軽に知れてしまう情報社会の世の中だからこそ、能動的に知るべき事は知らなければいけないと思います。

その中で、自分が向き合わなきゃいけないと感じたものに、向き合えるかという事だと思うのです。
 
僕は縁があって今写真が向き合えるものだったので、それに向き合っている。

自分という存在が関与するべき問題だと感じれば、それに対してアクションを起こします。
 

吉祥丸氏が写真を通じて起こしたアクション



 

この間行ったプロジェクトが、路上生活者(ホームレス)の方に使い捨てカメラである「写ルンです」を渡して一週間かけて写真を撮影してきていただくという企画だったのですが、皆さんにとても素敵な写真を撮っていただきました。
 
(詳細はこちら:https://uni-share.github.io/the_home.html
 
このプロジェクトはもともとロンドンの人がやっていた事でした。

誰も損はしないし、彼らがこういう写真を撮るんだという発見と、実際に写真展を開いて写真を展示・販売することで、写真を認められる事によって彼らを心理的にも経済的にも支えることができると思いました。

それに、なにより彼らが一番ストリートにいる人なので、ストリートを映すなら彼らに撮ってみてほしいと思いました。

このような、ネガティブなはずの問題が、クリエイティブの力によってどんどん良い方向になっていくプロジェクトを今後も色々やってみたいなと思っています。


※第一話はこちら

※第三話はこちら



明日に続く……。
 


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