ファッションの再定義『The Vulgar(下品)』について語る。

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ロンドンで行われたエキシビジョン『The Vulgar : Fashion Redefined』。

『The Vulgar』とは「下品な、洗練されていない、不作法な」という意味である。

この『The Vulgar』をファッションの一つの手法と捉え、ファッションの再定義を思わせる初めてのエキシビジョンは、ヨーロッパ最大の文化施設「バービカン・センター」で行われた。

まずこのエキシビジョンは、過去に『Chloé.ATTITUDES』を含む、多くのエキシビジョンを担当した、Judith Clark(ジュディッシュ・クラーク)。

そのパートナーとして精神分析医である Adam Phillipes(アダム・フィリップ)によって、心理的な影響から効果を問い、まとめたものである。

このエキシビジョンについて、アダム・フィリップ氏はこう語っている。
 

As though we fear something might happen if we allow ourselves to be interested or curious; as though the vulgar had some dangerous allure...” 

自分自身の興味心や好奇心に従っても、起こりうる何かに恐れるのと同じように、まるで下品さには若干の危険な魅力があるようだ。


 





会場内では、私たちが理解しやすいように20のトピックに細分化してあった。

分かりやすいトピックで言えば、『Too Much』や『Too Big』『The shopping centre』など、私たちが想像できるようなものから、『The Vulgar Tongue』『Impossible Ambition』『Ruling in and Ruling out』など、想像したものに出逢えるかどうか分からないワクワク感を与える。

服の展示に関しても、去年、2016年のコレクションから歴史的な衣装まで、幅広く見ることができた。





例えば、2003年春夏オートクチュールコレクションで発表された、John Galliano(ジョンガリアーノ)によるChristian Dior(クリスチャンディオール)のファーストルック。

顔まで包まれた黒のドレスの上から着物を羽織っているようなルックであるが、オートクチュールならではのダイナミックさ、生地の動きは当然にように固定されている。

これはもちろん、『Too Big』の項目に当てはまる。

その後ろには、『Pam Hogg(パム・ホッグ)』の2016春夏コレクション、『Viktor&Rolf(ヴィクター&ロルフ)』の2015年春夏オートクチュールコレクションなどが続いている。





そして、『The New Exhibitionism』のカテゴリーでは、17世紀、18世紀にイギリスで流行した『Court mantua(マンチュア・ドレス)』と呼ばれるドレスが展示されていた。

ウエストは絞られスカートは極端に横に広がっている。

着衣時に入り口を通る時に、横向きに進まなければいけなかったドレスである。

この時代の女性のことを考えると、「なんて面倒くさいドレスなんだろう」と思わずため息が出るが、その当時は宮廷服として指定されていることをみると、女性の憧れのドレスであったのだろう。

現代社会で、『The Vulgar』をファッションの一つの手法と捉え、歴史的な衣装から最近のコレクションまで、それに当てはまるであろうものを紹介していくこのエキシビジョン。

その中で、とりわけ、私が紹介したいのは、『Speaking of the Vulgar, 2016』である。

2016年の夏過ぎに撮られたインタビューで、『Walter Van Beirendonck(ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク)』『Hussein Chalayan(フセイン・チャラヤン)』『Stephen Jones(スティーブン・ジョーンズ)』『Manolo Blahnik(マロノ・ブラニク)』『Christian Lacroix(クリスチャン・ラクロワ)』『Zandra Rhodes(ザンドラ・ローズ)』の6人のデザイナー達が、『the Vulgar』について語ったものである。

The Vulgar and the fashionable have to keep an eye on each other.

下品とオシャレはお互いに理解し合っていかなければいけない。

エキシビジョンガイドより


実際に、この映像の中から興味深い部分を抜粋していこう。

出典:http://www.stephenjonesmillinery.com/project/vulgar
 

ガリアーノやゴルチエなど、多くのファッションデザイナーとコラボレーションを幾度と重ねている、天才ヘッドピーズデザイナーの『Stephen Jones』はシンプルにこう答えている。
 

"The Vulgarity is just by itself and for me it puts spices everything I do."

下品は当然それでしかないからこそ、私のしうる全てにスパイスを与えてくれるものである。



出典:https://www.barbican.org.uk/artgallery/event-detail.asp?ID=18736



ベルギー出身のファッションデザイナー、アントワープ王立芸術学院教授も務める、『Walter Van Beirendonck』は、このエキシビジョンのタイトルを聞いてショックを受けたみたいだ。

『Vulgar』という言葉の意味を真に受けすぎたのだと自分でも語っている。

彼は、時代によって変わり続けるファッションや、美しさの定義を交えて、『Vulgar』について語る。
 

"Sometimes we call something Vulgar, but ten years later it's beautiful. So that's continuing changement in the world in fashion."

私たちは時々、あるものに対して品がないと言ったりする、果たして10年後には、それが美しいものになっている。そんなファッションの中での変化が続いているのだ。




 科学や建築、哲学など、数多くの表現方法を交え、特異的なショー演出が常に話題となる、ファッションデザイナー『Hussein Chalayan』はこう説明した。

"Everyone is so careful about not being the vulgar to being correct, being polite and being sophisticated, that sometimes when you are surrounded by vulgar behavior.

It can be a kind of liberating, because a part of humanity is the vulgar. I think that a lot of us absolutely trained ourselves not to be vulgar."

あなたが下品な環境にいるなら、皆、なるべく正しく丁寧に、洗練されているような、ともかく下品には見えないような振る舞いをしようと気をつけてしまう。

人間の一部には必ず下品さが存在するのだから、それは一種の解放になるであろう。私の思うに、絶対に下品にはならないように皆、訓練されたのだ。

 


これから先、私たちはどんなスタイルをファッショナブルと呼ぶのだろうか。

10年後、彼らが言うように、『the Vulgar』の意味を調べたら『下品』などではなく、『美しい』と書き換えられてるかもしれない。

そう、美しさの定義は変わっていくのだ。

 

出典:http://www.barbican.org.uk/talkingvulgar/
   http://thelondonthing.co.uk/barbican-centre-the-vulgar-fashion-redefined/
   https://frieze.com/article/vulgar-fashion-redefined


 


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