【世界のクリエイター】デザイナーXUAN(スアン)が既製品ではなくオートクチュールにこだわる理由

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世界には独自のアイディアとクリエーションを武器に、様々な作品を生み出すクリエイターが存在する。

【世界のクリエイター】企画では、ファッション界だけに止まらず、アート、ミュージック、フィルムなどあらゆる業界で活躍するクリエイターをピックアップし、その真髄に迫る。

今回はベトナム系オランダ人のオートクチュールデザイナー、XUAN(スアン)にフィーチャー。



2001年アムステルダムにてブランドを立ち上げ、より高いクリエーションと技術の研磨を目指し、2004年から拠点をパリに。

これまでパリ・オートクチュール・ファッションウィークのオフ・スケジュールで限られた人にのみコレクションを発表してきたが、2016年 FWコレクションからオフィシャルスケジュールにて開催。

初めてのコレクションはプレゼンテーション形式で行い、オートクチュールドレスを氷の中に入れるという大胆な演出を手掛けた。

2回目となった2017SSコレクションでは会場に花を敷き詰め特設のシャワーで雨を降らせ、五感を刺激するインスタレーションアートで幻想的な空間で観る者を圧倒した。

XUANは過去にプレタ・ポルテも製作していたが、現在はオートクチュールのみ。

既製品の服が主流となり、オートクチュールは衰退の一途を辿っていたが、一点物が生み出す特別感や機械では作ることのできない風合いに惹かれ、徐々に息を吹き返している。

パリ・クチュール組合も、招待枠を設けて海外のオートクチュールデザイナーをパリに招くなど、伝統を守るべく動いている。XUANもその中の一人ということだ。

XUAN(スアン)
ベトナム系オランダ人のデザイナーXuan-Thu Nguyen(スアン・スー・ニョエン)によって2004年に創設されたブランド。オートクチュールデザイナーとして最も才あるストリーテラーとして知られている。構築的で芸術美に溢れたドレスは、感動と親しみを与える力強さを持つ。2016FWコレクションよりパリ・クチュール組合オフィシャルスケジュールにてコレクションを発表している。




ーーまずは、デザイナーを目指したきっかけを教えてください。

幼少期から服に関心がありました。着飾ることが好きでしたし、見よう見まねで洋服を作っていました。

年頃になり、デザインを学びたいと思ったのは自然の流れだったように感じます。高校を卒業後、生まれ育ったアムステルダムにある服飾専門学校へと進みました。



ーーなぜオートクチュールを選んだのですか?

自分の手で作るというのが好きだったんです。デザイン画を描くことやパターンを引くこと、服が売れてそれで生きていくという道よりも、自分の手でひとつひとつ作りたいという思いが根本にありました。

一点物のドレスは取って代わることのできない特別な品です。それだけに時間と費用はかかりますが、完成した時の喜びや着用してくれるお客様との関係性は、プレタ・ポルテでは得られないものがあるのです。




ーー途中、プレタ・ポルテを発表していましたが、きっかけは何だったのですか?

まだアムステルダムを拠点にしている時でしたが、顧客や知人、業界関係者に後押しされて始めました。

ただ、多くの人に向けて発信し量産するのは自分には向いていないと、シーズンを重ねる毎に感じたんです。クリエイティブで素晴らしい既製品を作るデザイナーは世界中にたくさんいますが、自分の肌には合っていなかった。

なぜという理由が上手く言語化できないのですが、感覚的な部分で、作りながら心にズレが生じて…。

服づくりは私にとってパーソナルなもの。内側にある感情を表現する方法として、対話するよりも正確に外へ発することができると信じています。

しかし商業的なプレタ・プルテではそれができず、創るものと感情にギャップがありました。それはまるで自分に嘘をついているようで、頭では理解できても心がハッピーではなかったんです。

それからオートクチュール1本に絞ることを決めて、今に至ります。



ーー作品を創るうえで、一番大切にしていることは何ですか?

自分の心に耳を傾けて、内なる声を高らかに表現することです。そこに迷いがあってはいけませんし、手抜きもしません。

デザイナーとして、母として、妻として、誰もが日々変化するものです。その変化の中での瞬間瞬間の自分の感情を正確に表現し、観た人に訴えかける作品づくりを目指しています。



ーープレタ・ポルテを止めて間もなく、パリに拠点を移されていますよね。きっかけや理由があれば教えてください。

顧客もフランスの方が多かったことと、街から受けるインスピレーションがパリの方が大きく私に影響していると感じました。

ジュエリーデザイナーである妹もパリのマレ地区にお店をオープンさせたことと、主人との結婚など、全てのタイミングが合致して、パリに移りました。



ーーパリコレのオフィシャルメンバーとなった今、世界中からの注目 ますます高まりそうですね。最後に、今後の展望を聞かせてください。

常につくりたいという欲に取り憑かれているので(笑)、パリコレで発表する作品先2シーズンまで構想がすでにあります。

今はぼんやりとしたそれをブラッシュアップし、この手で服をつくることに集中したいですね。

オートクチュールのドレスを着用する、オーダーするという機会は少ないと思いますが、作品を見て「デザイナーは何を表現したいのだろう」と考えてみてもらえると嬉しいです。

アート作品のように、“意味を読み解く”という楽しさがオートクチュールにはあると思うんです。直接対話はできなくても、作品を通じて日本の方ともコミュニケーションを取れることができれば、デザイナーとして冥利に尽きます。



Photo by Shizuka Odajima
 

顔をクシュッとさせるチャーミングな笑顔が印象的な女性。自分の心に従って道を開拓し、常に直球勝負で生きているのが、数時間の取材だけでもよく分かった。とにかく仕事が、服つくりが好きで好きでたまらない!といった具合に、無邪気に打ち込んでいる。その姿は、羨ましいと思うほど。
現代においてもオートクチュールが権威ある存在として保持し続けられているのは、服という役割を超えて、人と人を繋ぐもの、対話する一つの手段であったり、形には残せない”感情”というものを具現化し後世へと残していくためだということが、XUANの言葉を通じて納得できた。



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