「プリミティブ」と、今の社会に生きていて感じる「怒り」がキーワード。/ AKIKO AOKIデザイナー 青木明子 | FUKROO

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東京コレクション直前デザイナーインタビュー 第2弾 – AKIKO AOKI(アキコ・アオキ)−
年2回開催され、3月20日より開幕するファッションの祭典「Amazon Fashion Week TOKYO 2017 A/W」。
 
期間中は渋谷ヒカリエ、表参道ヒルズを中心に国内外約50ブランドのランウェイショーやインスタレーションが繰り広げられる。
 
今回、開幕直前のこの時期に注目ブランドのデザイナー達を直接取材し、今回のショーに対するテーマや見どころを聞いた。ぜひ、当日ショーを見る際の参考にしてもらいたい。
 

ーー 今回の「テーマ」は何ですか?
 

テーマというより、イメージになるのですが「primitive(プリミティブ)/原始的」な、というのが最初からあります。

次のコレクションは少し土着的というか、プリミティブな感覚というものをメインにしたいなと思っています。
 
もうひとつのキーワードが、「怒り」。

最近世の中を見ていて個人的に感じるのですが、皆それぞれどこにも向けられない怒りや苛立があるような気がするんです。

それが誰かのせいというわけではないけど、そういうモヤモヤしたものが凄く彷彿していて、例えばトランプ大統領の当選に関しても、何かそういった流れをアイコンにぶつけたいというような感覚があるような感じがして。
 
テーマというほどでもありませんが、そういう感覚も今回意識しています。




ーーご自身が生活しているなかで感じている事なのでしょうか?
 

そうですね。生きていくうえで、どんどん社会が便利になっていくのに、裏側は人としてとんでもなく不都合だったり不幸せなことがある。

もちろん良い事も沢山ありますが、「社会が幸せになる」=「個人の幸せ」ではないと思っていて、我々が社会に飲まれちゃっているように思います。

そこに真っ向から反発するわけではないけど、生きにくさであったり、本当にそれでいいのかなって皆多分思っているのではないでしょうか。

しかし、実際その社会で生きて、生かされ、そういう事に対する怒りをどこにぶつけていいのかわからないモヤモヤがある気がしました。

トランプ大統領就任自体がなんだか象徴的に感じます。
 
うちのブランドのコンセプトにも通じますが、自分が生きている中で考え方や流れが変わって行くというものがあって、インスピレーションに関してはその時自分が気になる事や、最近こう思うなという事から着想される事が多いんです。
 
 
ーー プリミティブを連想したきっかけは何ですか?
 

例えば自分が聞いている曲や、インターネットで目にする映像などから、コンテンポラリーのような、身体をつかった表現であったり、特に土着的で原始的に感じるものが目にとまって。

音楽はクラシックも聞きますし、最近流行っているようなものや、エレクトロも聞きます。

特にこれが凄く好き、というのは決めていないですね。
 
それらの音楽や映像とかで、なんか民族的なものが気になったのがきっかけですかね。

「あ、この感じいいな」って、本当にそれだけなんです(笑)
 
さっきの怒りとは別に、普段の生活に直接的に関わりのないことでも、自分の中でブレインストーミングしてイメージ決めることが多いので、直感的にただ何かいいな、と思いました。




ーーでは「プリミティブ×怒り」と、次のコレクションは少しエッジィで強い印象になるのでしょうか?
 

いえ、逆かもしれません。

今回の「怒り」とは、わーっと感情的になる「怒り」ではなく、「静かな怒り」の感覚があって。
怒りなんですけど、少し刹那的な面であったり、低く鈍い感じ。

それをプリミティブに組み合わせたいので、「怒ってる!」という、パンクのようなわかりやすいビジュアルではないと思います。
 
ファッションって、そういう曖昧さが凄く大事に感じるんです。

白黒はっきりしない、はっきり分けずにグレーゾーンがある感じは、日本的でもありますね。
 
 
ーー 海外コレクション等ではどのブランドをチェックしますか?
 

ヴェトモンとか、ロエベとかは見ていますね。あとはロンドンの若手も見ています。
 

ーー そういったファッショニスタ等はSNSでチェックしますか?
 
そうですね、もうほとんど勝手にタイムライン流れてくるじゃないですか。

私はあまり、わざわざサイトにいって見るというよりかは、SNSをひらいてバーッと流れてきたものを見て行く感じです。

見るものがありすぎると、刺激もとにかく多いですよね。そういう感じが良いのか悪いのかはわかりませんが……。

誰でもそのようにアップロードできるので、わざわざ雑誌で見るよりかは、携帯で見ちゃいますね。




ーー ショーの見所を教えてください。



今ちょうど話しているタイミングなので、まだはっきりとはお話できませんが。

いつもそうですが、服だけでなく、演出や音、その場のすべてで印象をつくり出せたらいいと思っています。
 
普段ショーの音楽やモデルの選び方は、自分の中でこれといったルールがないんです。コレクションごとに変わっていきますね。
 
音楽は、特にテーマもそこまで意識せずに選びたいなと思っています。

最初に集める曲って、イメージに則したものを選びますが、全然違うような曲をあてて想像すると、「あ、いいかもしれない……」と(笑)

たまたま聞いた曲とかが良かったりするんです。
 
頭の中でショーのデモンストレーションをできるだけします。

こういう感じでこの空気感だけど、あえてこの凄くリズミカルな曲とか、あえて凄く明るい曲とか……偶然みつけた曲と、最初にたどり着きたい雰囲気を固定せずに何通りか作ってみて、どれが一番「あ、いいかも」って思えるのか探っていきます。

だいたい最初に決める曲にはならないですね。直前に変わったりもします。
 
前回のショーは屋外でおこなって、天候にも非常に恵まれて抜け感も加わり、偶然性も伴い成り立ったものもあると感じています

今回は屋内になるので、また違ったアプローチになるのかと思います。

決まった空間の中で、つくりあげていくのは難しい部分もあるのかと感じています。

海外だと色々な場所がショー会場になり得るので、もう少し日本でもそういうのが当たり前になったらいいなと思いますね。
 

ーー 海外と日本のファッションシーンの違いをどう感じますか?
 
 
海外は、文化としてファッションが浸透しているという印象がありますが、やはり日本ではまだ文化というところまでは、なかなかいけてないのかなと感じます。

そこも、もっとアップグレードしてやっていけたらいいなと思っていますね。
 
日本において今若い方が、知っていたり憧れているブランドが、いわゆるコレクションブランドではないことも多くあると感じています。

好きなブランドがファストファッションブランドになっていて、そうなると私たちが知っていた90年代のようなものを良いと主張していても、なにか違和感を感じます。

全然ファストファッションが嫌だとかではありませんが、そういう人や時代に向けて何か伝えたり、自分の中にあるものを「ただ、これが好き」と押し付けるのも違うと思うし……今のそういった現状を前提に、ではどういう風にアプローチしていくべきか、ということは多分ずっと更新して考え続けていかなければいけないと感じます。
 
今の街に溢れている空気が、なんかとても平和主義みたいな感じがしますね。

平和をキープしたくて、平和の基準が悪い意味でなく低いというか……簡単に手に入る平和のように思えて。

「静かな怒り」に通じる事は、もしかしたらあるのかもしれません。
 
毎回ショーや展示会でどういう風にやろうと考えますが、そういう事を考え続けることや、今の街にある空気感を感じ取ることは大事にしていますね。
 

ーー 今回のコレクションにおいて、苦戦したことは何でしょう?
 

特別なショーケースや、ぱっと見凄く刺激的なものを使わずに、良いショーをするという事が個人的に今回は課題です。

それってデザインに関して非常に繊細になっていかないとダメなので、そこが個人的な課題です。
 

ーー前シーズンからの変化は何でしょう?
 

前回は結構身体にフィットしたものを出していましたが、今回は少し逆で、身体と衣類の空間、服と身体の間にある空気感をデザインの中に含ませたつもりです。

先シーズンは本当に「締める」という感じでしたが、それだけでなく、ちょっとした間合い等を意識していますね。




ーーショーに向けての意気込み、メッセージをお願い致します。

 

リアルのライブ感であったり、やはりショーにしかないものはあると思うんです。
 
物質だけで考えてしまうと、物流の速さやあらゆる消費の速度に知らず知らずのうちに巻き込まれていく感覚があります。

でもそうではない新しい価値観を提案できる可能性がファッションにはあるのではないかと思います。
 
それは、ショーでやるという事にも意味があると信じています。
 
前回もFashion Port New Eastというイベントで発表しましたが、今回も同様に、AKIKO AOKIとしてアップデートした人間像というものが、少しでも届けられたらいいなと思っております。
 



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