【Paris FW Women / 17-18AW】Day1&2 パリコレ開幕!Dries Van Noten(ドリス・ヴァン・ノッテン)祝100回目のショーで痛感したこと

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ニューヨーク、ロンドン、ミラノと続いたファッションウィークはついにパリへとバトンを繋いだ。

2月28日パリ・コレクション初日はJacquemus(ジャックムス) Saint Laurent(サン・ローラン)がコレクションを発表。

3月1日の2日目にショーを開催したのはMaison Margiela(メゾン・マルジェラ)、Dries Van Noten(ドリス・ヴァン・ノッテン)。

 

シーズンを追うごとに着実に販路を拡大し、仏『VOGUE』のカバー衣装に起用されるなど、ますますの活躍が目立つJacquemus。

今季は“ジプシーに恋をしたパリジェンヌ”をテーマに、クラシックとアバンギャルドをミックスしたミニマルで洗練された内容であった。

体が泳ぐほどたっぷりとした分量のコート、ウエストにひねりやギャザーをたくさん入れたトップスなど、Jacquemusらしいディテールの奇想天外な発想が光る。

肩から数センチ浮いた状態に見えるトップスは、重力にまで抵抗しているかのようなアイテムで、枠に囚われることなく変幻自在。

ツヤが美しいシルク素材で仕立てたパンツ、ゴールドの大ぶりなモチーフがついたベルトなど、80年代のオートクチュールのようなクラシックでノスタルジックなムードも漂う。

ハンドル部分を下向きに、上下逆さにデザインしたバッグや、ボリュームのある洋服に対して異様に小さいバッグなど、小物類も見逃せない。

デザインはパンチが効いているが親しみを感じられ、ひとつひとつのアイテムとしてはショーピースとしてもコマーシャルピースとしても働くというアイディアが非常に優れている。

 

2シーズン目となるアンソニー・ヴァカレロ率いるSaint Laurentは今季、デイウェアからイブニングウェアまで全105ルックを発表した。

Yves Saint Laurent自身がパーティーに入り浸り、ブランドとしても全盛期を迎えていた頃のゴールデンエイジに想いを馳せたという。

腰あたりまで深いスリットが入ったレザーのロングドレス、角ばったショルダーに胸元がV字に開いたミニドレス、ケーブルニットにラインストーンをふんだんに盛り込んだ眩しい輝きを放つドレスなど、まさにパーティ仕様。

中盤にはデニムジーンズや、タートルニット×ミニスカートのカジュアルなディウェアも登場し、幅広いバリエーションを見せた。

前任のエディ・スリマンはロックテイストで時代と逆流するようなアイディアを持ち、メゾンの歴史を大きく変えたと称えられている。

売り上げも大きく伸びた彼の後任というのはどれだけの重圧だろうか…。

コレクションだけでなく広告やキャンペーン含め、徐々にSaint Laurentとアンソニー・ヴァカレロの大胆なセクシュアルと洗練されたモダン女性像が融合しているように感じる。

見事に合致しファンの心を掴んだ頃に突然の辞任!ということにだけはならないで欲しいと願うばかり。


Saint Laurentとは逆に、すっかりMaison Margielaで正しく舵を取っているのがジョン・ガリアーノ。

フェミニンでロマンチックなクチュリエのガリアーノと“脱構築”を打ち出すアバンギャルドなMaison Margielaは、対照的なテイストであるために賛否は別れ、就任当時は大きな話題となった。

ガリーノは今まで政治的発言をしたことはないが、今季はアメリカを強く意識しこれまで以上に”自由”のキーワードが主張されている。

米軍のミリタリーを破壊し、ガーメントやモチーフのミックスで詩的で遊び心のあるルックがいくつも見られた。

ヨーロッパで生まれるもその後アメリカで発展したキルト地を引用したドレスは、オーガンジーのドレスにレイヤードされ、毒を持つ詩的な美しさが滲み出るルックであった。

破壊的で力強いコレクションは怒りも感じるが、攻撃的ではない。意外な素材やアイテムのミックス、バッグを頭にかぶせたり、糸が乱れるように垂れ下がったアイテムのように、遊び心を持って自由を提唱している。現状を俯瞰で楽しむ余裕さえも見られた。
 


Dries Van Notenにとって、今回が記念すべき100回目となるショー。

1986年にアントワープ6の一人としてロンドンコレクションにてデビューを果たし、文字通り一世を風靡した。正式には1992SSより正式にパリコレに参加。

派手ではなくても、エモーショナルで心に訴えかけてくるDries Van Notenのショーは、業界でも人気で、毎シーズン楽しみの1つである。何よりも、Dries Van Notenにの人柄に惹きつけられてしまうのだが。

そんな記念となった今季も、Dries Van Notenらしく静かに祝杯をあげた。

ショーには1993年以降彼のショーに登場し、時代の顔となったモデルが54人登場。プリント柄も過去のアーカイブが復活した。

1994年春のイングリッシュローズ、2000年春の壁紙、2001年秋のトライアングル、2013年秋の着物など。

それら過去のプリント柄同士が1つのアイテムの上で出合い、真新しいモダンなルックへと変貌。

アイテムはテイラードジャケットやパンツスーツなど、トレンドなく普遍的に愛されるベーシックなアイテムたち。

ほんの少しだけオーバーサイズやボクサー型にシルエットを変えたアイテムも取り入れ、今のムードもしっかりと盛り込んだ。


いいブランドの定義とは何か。答えは人によって、業界によっても違うだろう。

筆者にとってのいいブランドの定義とは、いかにブランドの理念がブレないか、ということ。

現状維持が後退であるとみなされるファッション業界では、常に時代と呼応しながら変化しなければいけない。その変化にいつの間にか自分自身が蝕まれ、理念が崩れるブランドは山ほどあるし、代用となるブランドだって次々と現れる。

変わらぬ理念を保ちながら進化を続ける過程で、唯一無二の存在として世界の中に居場所を作り、尚且つビジネスとしても機能する(=売れる)なんて、奇跡の中の奇跡!

自分の心が正しいと感じたとしても、それを“正しい”と発言し続ける強さを多くの人は持っていないし、きっとそれも悪いことでもない。

アナ・ウィンターが「いい」と言えば良く見えるし、カール・ラガーフェルドが打ち出すコレクションは全て正しいように見えるし、Vetements(ヴェトモン)が才能あるいいブランドに見える。

しかし、本当にそれは自分の意見なのだろうか?何の情報もなく、真っ白な自分の心と目でそれを見た時に、本当に同じように感じるかのだろうか?知ってしまうと知らなかった頃には戻れないから、結局その答えは分からない。

正しいものを正しいと、違うものを違うと言うためのものさしを持って、情報や偏見や概念に惑わされずにいることが今の時代、いかに難しいことか。

考えれば考えるほど、Dries Van Notenの奇跡に感動してしまう。

ブランドの軌跡と彼の情熱と才能に深い尊敬の念を抱きつつ、これからの変化も楽しみにしたい。
 



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