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シェアリングエコノミーは持続可能なエコシステムになる?所有から共有へ向かうファッション

2016/11/16 12:00

注目を集めるシェアリングエコノミー。デジタル技術の進展によって地理的・物理的な制約が排除され、個人の資産をネットワークで共有できるようになった。総務省の調べによると全世界のシェアリングエコノミーの市場規模は2025年に3350億(約33兆円)ドルになると言われている。

日本においてもホームシェア・ライドシェア領域だけで経済効果は10兆円を超えると予想。日本では「民泊」が一時期話題を集めた。会議室などのスペースシェアやクラウドソーシングのようなスキルシェアなど他領域のサービスも成長が進みつつあり、市場への期待は高まっている。

「シェアリング・エコノミー」とは、典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)をインターネット上のプラットフォームを介し貸借や売買、交換することでシェアしていく経済仕組みを言う。

(出典 PwC「The sharing economy - sizing the revenue opportunity」)

フリマやレンタルサービス「モノのシェア」

ファッション分野では衣服の貸し借りやフリーマーケットが盛んだ。売りたい人と買いたい人を繋げる、ネット上のフリーマーケットが特に人気を博している。サービスの提供はスマートフォンアプリを使って行われ、手軽に出品・購入することができるのが魅力の一つだ。

中には使わない服を貸し倉庫に保管し、スマートフォンを通じて出品代行をしてもらえるものもある。ファッションレンタルにはユーザーに嬉しいサービスが増え、ブランドバックに特化したものやビジネス用のワイシャツ、スタイリストにより、パーソナライズされたレンタルファッションなどの定額制サービスがトレンドだ。

(出典 https://poshmark.com)

以前、フリマアプリのCMで話題になったものがあった。実店舗で気にった商品を見つけた女性がスマホのフリマアプリを使い商品を検索し、実店舗では買わないという内容だ。このCMはファッション業界から批判を浴びたが、もはや定価で買うことは損している感覚になるほど中古市場は盛り上がりを見せている。

新品と中古の差が消費者の中で薄れ、「ミニマリズム」や「シェア」と言った、モノを持たない(必要最小限)時代の到来を予期させる動きが顕著に表れている。

アパレル総小売市場規模の縮小

(出典 http://www.fashionsnap.com)

15年の国内アパレル総小売市場規模は前年比0.2%減の9兆3609億円と、10年以来5年ぶりに縮小。

生産者と消費者の「あいまい化」

国内アパレル総小売市場規模が縮小したことを受け、従来のアパレル小売産業の陰りが見える。消費者意識が変化し、被覆及び履物に対する消費支出が減少し、衣料品ではなかなかインバウンドの恩恵を受けずに厳しい状況が続いてる。これまでの資本主義市場経済は大量生産を前提とし、アパレル分野の多くは製造小売(SPA)という方法の中で企業主体の流れを汲んできた。

しかしツイッターやインスタグラム、フェイスブックなどのSNSの個人から発信される情報が大きな力を持つようになった。SEOが無いリアルな声に関心が寄せられ、消費者は消費者であるとともにトレンドの発信者や生産者になり得るのだ。

利用者同士の「信頼」

(出典 http://www.intelligenthq.com)

PwC Japanはシェアリングエコノミーが受け入れられるためには、信頼、利便性、コミュニティの要素が欠かせず、消費者はモバイルアプリを試すことに積極的であるため、ブランドを構築し、早期にブランド認知を高めることへの障壁は低いと考える。

イノベーションは急速に進化する気配を見せており、消費者が利用者同士のコミュニティや、提供者と利用者との関係に対する信頼性が高まるにつれ、そのペースはさらに速まると予想している。シェアリングエコノミーという仕組みは相互評価によって成り立ち、各々個人の信頼も重要になるのだ。

持続可能なエコシステムを生む「共有財産」

シェアリングエコノミーは資源の再配分や再利用が促進され、結果的に製品の寿命が延びる。一度作ったもの利用することで費用が安く抑えた経済活動も可能になるだろう。消費者の意識も所有から共有へ向かい、資源の循環と再生へと移行している。

ファッションは個人が所有する資産として前提がだったが、変わりつつある。所有と共有のハイブリットを使い分け、新たなニーズを掴んで行くことが、今後のアパレル市場活性に繋がるのでは無いだろうか。

モノを生産し、消費して利益を得る資本主義市場経済が消滅するわけでは無い。だがモノの生産量は減少し、私有財産や個別企業が保有する財産の多くは共有財産となり社会資本化していくだろう。

Yumi Takahashi