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メキシコの織物職人がこだわるエコロジー染料とは

2017/09/21 14:00


アパレル業界で使用される衣料繊維には、化学染料が多く使われてきた。

一方で、その環境や健康への害を意識して、伝統の自然染料にこだわっているメキシコの職人たちの村がある。

エコロジーで健康にもいいその手法とはなんと、虫や森の植物から鮮やかな色を生み出すものであった。
 

自然染料で染まったウール。(左)黄色い染料になる木のこけ。(右)
(C)Adriana Zehbrauskas for The New York Times


メキシコの織物職人の取り組み


メキシコのTEOTITLÁN DEL VALLE(テオティトラン・デル・バジェ)という村がある。

織物職人のPorfirio Gutiérrez(ポルフィリオ・グティエレス)氏は子どもの頃から家族でよくこの村にブランケットや敷き物を染めるための植物を探しにいった。

pericón(ペリコン)というマリーゴールドの一種の植物はバタークリーム色に jarilla(ジャリラ) という多肉植物の葉は新鮮な緑色を生み出してくれる。

グティエレス氏の家族はずっと織り職人であり、彼もその技術を父親から教わった。

Oaxaca(オアハカ)市近くのこの小さな村は手織りのラグが有名で、ここの職人たちは虫や植物をもとに1000年以上の前から伝統的染料を使うことにこだわっている。



エコロジーな自然染料

近年、人工染料の健康と環境への被害を受けて、多くの国々では自然染料に帰化する動きがある。

しかし、自然顔料であっても全てが良いわけではなく、中には有害なものがあったり色の定着のために重金属塩類などを使用しているケースもある。

また、自然染料は、日に当たると色があせやすく持ちが良くない。

しかし、環境保全家たちは、長年有害な化学物質が衣服に使用されることを危惧していて、実際、繊維工場からの化学物質は水路を汚染し、世界規模でのエコシステムを破壊することにつながっていた。

「人工染料は非常に有害でこのことをもう少し意識すれば、多くのアーティストたちは自然染料を使うようになるはずだ」とグティエレス氏は言う。

 

織物の伝統的歴史

自然染料で染めたラグをチェックするGutiérrez氏。
(C)Adriana Zehbrauskas for The New York Times 


この地域の工芸の歴史を研究するNorma Schafer(ノーマ・シェーファー)氏によると、この村は元々織物が盛んだったが、1500年代にスペイン人が訪れて改良された織物機をもたらし、手織りのブランケットやストールなどの生産で人々は収入を得るようになったという。

その後、1970年代にアメリカ人が彼らの技術に着目し、アメリカ南西部の先住インディアン部族である、ナバホ族のデザインを持ち込み、南西部式の家をモチーフにしたデザインで、低いコストで販売され、需要が増えていったという歴史がある。



自然染料を広める取り組み

機織り機で織るGutiérrez氏。(C)Adriana Zehbrauskas for The New York Times


グティエレス氏は、仕事で渡米後、メキシコに帰国してから父親から織物の技術を学び、村の暮らしの変化を知るにつれ、再度この伝統技術を残していくことに熱意を燃やしている。

同氏は、現在家族とともに自然染料しか使わない工房を作り、そこで他の人々にも伝統的技法を教えている。

彼の活動はサンタフェの年間国際フォルクアートマーケットで画期的な取り組みであることが認められた。

「私が家族とこうした活動をしていることは、私たちの祖先が始めた伝統に敬意を払い、一つのアートを探求することなのだ。関心を持ってもらえれば、きっとこの自然染料も支持されると思う。そのようにして、つなげていきたい」とグティエレス氏は語る。

メキシコの職人たちの取り組みは自然染料とエコロジーのつながりの大切さを教えてくれる。

 

CreditAdriana Zehbrauskas for The New York Times
https://www.nytimes.com/2017/09/18/science/mexico-textiles-natural-dyes.html